THE CLIMB+Oculus Touchレビュー: 絶景を背に頭脳で己と戦うロッククライミングゲーム

2017年1月4日

Oculus Touch対応のロッククライミングゲーム「THE CLIMB」についてのレビュー記事です。

どんなゲーム?

VRとモーショントラッキングコントローラを使って、まさにロッククライミングをゲームにした、といえる内容です。

プレイヤーはロッククライマーとなって、絶壁をよじ登っていきます。崖にはあらかじめ掴めるポイントが定められており、プレイヤーはそのポイントを、右手でつかむか、左手でつかむか、を瞬時に判断して、次から次へと崖の上を移動していきます。

両手にはそれぞれスタミナがあり、片手でぶら下がっているとスタミナを消費していきます。スタミナがなくなってしまうと落下してしまいます。両手でぶら下がっていればスタミナは回復します。

また、手にはチョークを定期的にまぶさなければいけません。移動し続けているとだんだん手のチョークがなくなっていき、スタミナが減りやすくなってしまいます。移動しながら空いた手にチョークをまぶす、これを素早くテンポよく繰り返すのが良いスコアを出すコツです。途中には手を伸ばしても届かない箇所があり、視線を向けてジャンプする、という操作が求められることもあります。

ステージはBay, Alps, Canyon, North(12月のアップデートで追加)の4ワールド×3ステージが用意されており、その中でも移動ルートが何種類か用意されています。そしてプレイヤーはそのルートの中から自分の技量に応じて好きなルートを選ぶことができます。

ルートに沿って頂上までたどり着けばステージクリアです。所要時間やテクニックによってスコアが決まり、全世界のプレイヤーとスコアを競うことができます。

HTC VIVEでも遊べる?

THE CLIMBはOculus独占タイトルです。Steamでは販売されていません。Oculus StudioとCritekの共同で開発されたため、今後もSteamでOpenVR(HTC VIVE)版が販売されることはないでしょう。

どうしても遊びたい場合はREVIVEを使って遊ぶことはできます。

モーションコントローラ必須?

実はOculus Touchが無くても、Xbox Oneコントローラを使って遊ぶことはできます。Oculus Touch用のタイトルとして開発されたものの、Oculus Touchの発売が遅れたため、Oculus Riftの発売と同時にXbox Oneコントローラを使って遊ぶゲームとしてリリースされたようです。

ですが、このコントローラの違いは、ゲーム内容を別物と言っていい程変えています。実際、ゲーム内ではXbox Oneコントローラを使った時とOculus Touchを使った時で、チュートリアルからランキングまですべてが切り変わるようになっており、ゲームの作りとしても別扱いです。Xbox Oneコントローラで遊んでいる人も結構いるようですが、特性的にOculus Touch向けタイトルと考えておいた方が良いでしょう。

購入方法

Steam

Oculus独占タイトルのためSteamでは購入できません。

Oculus

情報が得られるサイト

魅力

このゲームの魅力はなんといってもそのグラフィックスでしょう。超人気FPSシリーズであるCrysisを開発したCRYTEKが、自社ゲームエンジンであるCRYENGINEを使って本気で開発したのですから、どうりでグラフィックスが綺麗なわけです。(グラフィックスが綺麗なせいで、液晶の解像度がもう少し高ければいいのに、とも思ってしまいますが。)

ゲーム内の設定で内部解像度を自由に変更できますので、Geforce GTX 1080等のハイエンド環境を持っていれば、更に綺麗な映像を楽しむことができます。

ゲーム内容としても現状オンリーワンです。腕を右・左と大きく動かして実際に汗をかきながら、とっさの判断をしていく感覚もVRならではです。こってりゲームを楽しむ、というより、あっさり目のゲーム性とクライミングVR体験をいい塩梅でミックスした、そんな内容です。

メニュー画面やチュートリアルも丁寧に作りこまれており、さすがAAA級タイトルを開発しているだけある、と感じさせられます。(※チュートリアルの英語は若干早口で聞き取りにくいかもしれません。一応雰囲気だけで理解できるようにはなっています。)

操作性

操作は単純です。岩場の目的の箇所を直接掴んで体を手繰り寄せ、右・左・・・と繰り返して移動していくだけです。歩いての移動は無く、時々体の向きを変えたり、岩をよけるためにしゃがんだりする程度です。

途中崖をジャンプする箇所がありますが、ジャンプ先を見つめてボタンを押す、とここだけ普通のゲームっぽい要素が入ってきます。ジャンプ時は崖と反対方向を向く上に、ジャンプ後には腕を大きく伸ばさないといけないため、狭い場所でやっていると腕が周囲の障害物に当たってしまうので、注意が必要です。

コントローラにカメラリセットが割り当てられているため、カメラ調整をしながらジャンプすることは可能です。当然ですがそうすると、没入感は損なわれるため、360度方向に手を伸ばしても障害物がない環境でプレイするのが理想的です。

酔いやすさ

崖をよじ登っての移動そのものは、腕の動きがある分あまり酔いません。ただ、移動の種類としては酔いやすいスムーズなスライド移動に準ずるため、わずかな酔いが蓄積されていく感じはあります。そのため、VR酔いに弱い人はあまり長時間プレイできないかもしれません。ジャンプ時も、ジャンプ先の一点を直視しているため、あまり酔いは気にはなりませんが、周囲視野が大きく動くため少し注意が必要です。

一番気を付けなければいけないのは、落下時です。落下時は景色全体が大きくスライド移動するため、非常に酔いやすい映像になっています。目をつぶるなどの自己防衛策も取れますが、とっさのことで忘れてしまうことも多々あります。上達するとあまり落ちなくなるため、ゲームを始めたばかりの頃が酔いやすい、ということが言えます。

最後に

VRであることに意味があり、モーションコントローラの特性も生かしている、そしてゲームとしてもオンリーワンで、やりこみ要素もあり、作り込みやまとまりもよく仕上がっている、とお勧めできる要素が揃ったタイトルです。Oculus Touchを持っているなら購入を検討するべきでしょう。

一点ネガティブな点があるとすればその価格です。定価は¥4990となっており、これは若干高く感じられます。Winter Sale期間中の単品購入、及びTouch Launch Bundleセットの換算価格では¥3340ですが、これぐらいの価格が適正価格と感じる人も多いかもしれません。(さらにDaily Dealでは¥2990だったこともあるので、Winter Saleを逃した方は、また値下がりするのを待つのもありかもしれません。)

とはいえ、今後このジャンルのゲームがほかに出たとしてもTHE CLIMBを超えることはないでしょうし、Oculus Touchの代表作ではあり続けるでしょう。気になる人は是非プレイしてみてください。

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