DisplayPortの延長は意外にややこしい

2019年11月30日

最近のVR HMDはPCとDisplayPortで接続します。この記事では、その延長方法について考察しながら、適切な製品を紹介します。

DisplayPortとHDMI

一般的にグラフィックスカードの映像出力とVR HMDをつなぐには、DisplayPortとHDMIの二種類の接続方法があります。大抵のVR HMDはどちらかにしか対応していませんが、二つの信号方式は互いに変換することが出来ます。初期のVR HMDではHDMIが主流でしたが、2019年以降のVR HMDではDisplayPortが主流になってきています。

次の表は各VR HMDを発売順に接続方式とともにまとめたものです。

製品名 接続方式
Oculus Rift HDMI 1.3
HTC VIVE HDMI 1.3
mini DisplayPort(内部でHDMIに変換)
HTC VIVE Pro DisplayPort 1.2
Oculus Rift S DisplayPort 1.2
(mini DisplayPort 変換アダプタ同梱)
HP Reverb DisplayPort 1.3
HTC VIVE Cosmos DisplayPort 1.2
Valve Index DisplayPort 1.2

基本的にこれらの接続には変換アダプタを介さずに、そのままの方式で接続するのが無難です。

ただし、HDMIと比べてDisplayPortの方がノイズ耐性はやや高く、ケーブル長を伸ばしやすくなっています。この辺の事情に関しては以下の記事で触れています。

一方、延長ケーブルの製品はHDMIの方が豊富でDisplayPortは選べる製品が限られてきます。そして、選択肢が狭いことにより、支払うべき費用はDisplayPortの方が高くなり、HDMIに一旦変換した方が安くなることもあります。

この状況は若干悩ましくはあるのですが、前述の通りDisplayPortの方が延長に強いことと、変換によるトラブルを避けるため、この記事では純粋にDisplayPortをそのまま延長することに焦点を当てることにします。

必要なDisplayPortのバージョン

前述の表を見て頂ければ分かるとおり、現行のVR HMDはほとんどDisplayPort 1.2で十分です。ただし、HP Reverbだけは、その解像度の高さ故にDisplayPort 1.3以上を必要とすることに注意して下さい。

VR HMDとは関係なく、ディスプレイを延長したい場合、解像度とリフレッシュレートから必要なDisplayPortのバージョンを求めることが出来ます。

DisplayPort
バージョン
帯域 最大解像度
リフレッシュレート
1.2 17.28Gbps 2560 x 1440@165fps
3840 x 2160@75fps
1.3 25.92Gbps 2560 x 1440@180fps
3840 x 2160@120fps
5120 × 2880@60fps
7680 x 4320@30fps
1.4 2560 x 1440@180fps
3840 x 2160@120fps
3840 x 2160@144fps (DSC)
5120 × 2880@60fps
5120 × 2880@120fps (DSC)
7680 x 4320@30fps
7680 x 4320@60fps (DSC)

DisplayPort 1.3から1.4は転送帯域は増えておらず、ケーブルに要求される信号品質も変わりません。つまりDisplayPort 1.3までのケーブルは存在せず、市場のケーブルや機材はDisplayPort 1.2もしくはDisplayPort 1.4に分類されることになります。

DisplayPort 1.4ではDSC(Display Stream Compression)と呼ばれる非可逆の圧縮伝送方式に対応することで、対応する解像度が増えています。

DisplayPortの延長方法

DisplayPortを延長する場合、大きく分けて次の二つの方針のどちらかを選ぶことになります。

延長用ケーブルを使う

読んで字の通り、片側がメス・反対側がオスになっている、延長を目的としたDisplayPortケーブルを使います。2mまでの製品が多く、そんなに長くは延長出来ないのですが、その程度の延長で良い場合は一番確実でお手軽な方法です。

動作確認が報告されている代表的な製品には次のようなものがあります。

イーサプライ EZ5-KC028-2 / サンワサプライ 500-KC028-2

イーサプライ EZ5-KC028-2はOculus Rift S, HTC VIVE/VIVE Proで動作報告が有ります。

型番が似ているので、サンワサプライのこれもおそらく同じ製品です。こちらの方が安いです。

Club3D CAC-1022/CAC-1023

Club3D CAC-1022はOculus Rift S, HTC VIVEで動作報告があります。値段は高めですが、DisplayPort 1.4に対応しているので、将来的にHMDを買い換えたときも安心ですし、より高い伝送クロック向けのケーブルなのでノイズ耐性も高いはずです。HP Reverbの場合はDisplayPort 1.3なので、こちらを選んで下さい。

3mの物もありますが、こちらはHP Reverbで使うと、映像は鮮明に映るものの、黒画面を映すとでわずかに認識できるほどのノイズが出ることがありました。DisplayPort 1.2のHMDであれば問題ない可能性もありますが、特に理由が無ければ2mの方を選んで置いた方が無難です。

通常のケーブルを延長ケーブル化する

両端がメスになっている「カプラアダプタ」を使い、両端がオスになっているケーブルの片一方をメスにして、延長ケーブル化します。

条件によってはうまく動作しなかったりするので、割とリスクが高い延長方法ですが、ケーブルの選択が自由なのでより長く延長できます。

カプラアダプタ

対応するDisplayPortのバージョンが明記されていませんが、HTC VIVE ProとValve Indexで動作報告があるので、DisplayPort 1.2対応です。2個入りで安めですが、パッシブ(電源を必要としない代わりに信号が減衰しやすい)タイプなので、やや機材との相性があります。

Cable Matters2パックゴールドメッキDisplayPortメスカプラ
Cable Matters2パックゴールドメッキDisplayPortメスカプラ
  • Cable Matters
  • 価格 : ¥ 5,585
  • 商品ランキング : 位

北米のAmazon.comには、これのアクティブ(電源を必要とするが信号が増幅される)タイプであるDisplayPort 8K Repeaterという製品も販売されています。こちらはDisplayPort 1.4対応が明記されていて、Oculus Rift S, HTC Vive Pro延長用と表記されています。日本からも直接購入することが出来るので、時間と値段が許すならこちらも検討対象に入れてみても良いかもしれません。HP Reverbの場合はDisplayPort 1.3なので、こちらのアダプタがおそらく必要です。

これ以外の製品でDisplayPort 1.2以上に対応している、もしくは動作報告があるもので、入手性が良い物は見つかりませんでした。

ケーブル

DisplayPort 1.3以上に対応していて、両端がオスのケーブルを選べば良いので、非常に選択肢は広いです。ただパッシブタイプのカプラアダプタと、長いケーブルを組み合わせるとうまく動作しないことがあります。

以下は少々値が張りますが、前述のCable Matters製パッシブカプラアダプタと組み合わせてValve Indexでの動作報告があるケーブルです。DisplayPort 1.4対応で10mの長さがあります。

このケーブルは銅線では無く光ファイバケーブルになっており、ケーブル自体も軽くて細くノイズにも強いという特徴があります。

ですが、光ファイバケーブルは良いことだけではありません。無理に曲げると折れてしまうため、VRで利用する際には踏んだりしないように注意が必要です。以下のような器具を使用してケーブルを天井から吊すのが理想的です。

まとめ

DisplayPortに対応するVR HMDのケーブルを、延長する方法と注意点について説明しました。
HDMIほどシビアではないものの、延長には相性があるので、動作の確認が報告されている物を組み合わせることが重要になってきます。とはいえ、グラフィックスカードにも信号品質に差があるため、完璧ではありません。念入りに調べたとしても、最後はどうしても博打要素が出てきてしまいます。

DisplayPortのケーブルは比較的高価であるため、うまく動作しなかった場合の考慮も必要です。つまり、返品が容易な手段で購入するのが無難です。その点でAmazonは柔軟で理想的ではないかと思います。(返品を申し込むと郵便局が玄関まで集荷に来てくれます。)

動作した組み合わせは、見つけ次第この記事に追記していきたいと思います。実際に動作を確認できた方は気軽にコメント頂けると幸いです。

USBケーブルを延長したい場合はこちらの記事も参照して下さい。

スポンサーリンク