Oculus Quest1・2に最適な充電器とケーブルは?

2019年10月29日

Oculus Questには充電器とケーブルが付属しています。この記事では、この付属品の代替品を探す場合に参考になる情報と、実際に試してみた製品を紹介します。

注意点

Oculusは純正の充電器以外の使用は推奨していませんが、この記事ではPowerDeliveryと呼ばれるUSB充電の統一標準規格を信用する立場で書かれています。

Oculus Quest本体と付属品のスペック

Oculus Questに付属する充電器とUSBケーブルは、以下のようなスペックになっています。これと同等の物を用意すれば最低限問題ないと言うことになります。

Oculus Quest本体

充電器の話に入る前にOculus Quest本体のスペックについて触れておきます。Oculus Questの充電周りのスペックは以下のようになっています。

充電入力端子 USB Type-C
対応急速充電方式 USB Type-C Current
USB BC(DCP)
Power Delivery
バッテリー容量 3.85V / 3648 mAh (14.0 Wh)

急速充電方式は、USB Type-C標準である「USB Type-C Current(規格上は最大3A)」と「Power Delivery」に対応しています。

USB Type-C Currentは見慣れない用語ですが、要は今までのマイクロUSB端子における充電企画であるUSB BC(1.5A)をType C向けに拡張したものです。USB BCの性能は今のデバイスにとって不十分なため、USB非標準の規格が乱立していましたが、これを充電器の複雑性を大きく上げること無く、拡張した規格になっています。

Oculus QuestはCPU・GPUの統合チップ(SoC)としてQualcomm製のSnapdragon835を採用しています。Qualcommは独自の急速充電方式であるQuick Chargeを持っていますが、Oculus QuestはQuick Chargeには対応していないため、そこは注意が必要です。

充電器

充電器単体はアクセサリのページから追加購入できます。ケーブルは付属しません。

入力 100V~240V
出力 5V 3A(最大15W)
充電出力端子 USB Type-C
対応急速充電方式 USB BC(DCP)
USB Type-C Current
別売り価格 2400円

Oculus Quest本体は、高度な充電方式であるPower Deliveryに対応していますが、実は充電器側はPower Deliveryに対応していません

充電USBケーブル

プラグ形式 USB Type-C(両端、片側はL字型)
対応電流 最大3A
対応USB USB 2.0
長さ 3m
別売り価格 2400円

また、付属するケーブルはUSB 2.0までの対応であり5Gbpsの高速通信はサポートしていません。充電用途と割り切ってコストを下げるためだと考えられます。

両端がType-Cで3mの長さは珍しく、片側がL字の条件を加えると、同等の製品は一般には存在しないようです。(3mはOculus Quest1の場合。Oculus Quest2は1m。)

Oculus Questの急速充電性能を検証

Oculus Questは、USB BC、USB Type-C Currentに加えてPower Deliveryに対応していることは説明しました。Power DeliveryはスマートフォンからノートPCまで幅広い用途に対応する急速充電方式です。となると、当然充電器側をより大容量な物にすれば、Oculus Questの充電もより短くなるのではないかと期待が生まれます。そこで実際どうなのかを検証してみました。

検証に使った機材

検証にはその筋では定番となっているPower-Z製のKT-001(Kotomi Premium)を利用しました。以下のリンクは中身が同じOEM製品で、国内で一番入手性の良いものです。

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充電ケーブルにはType-Cの3A対応の以下のものを使いました。Oculus Quest付属のケーブルと同じように片方のType-CプラグがL字になっています。

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標準充電器を使った場合の計測結果

標準充電器を使った場合は以下のようになりました。大体10W前後で充電していることが分かります。

充電器自体は15Wまでなので、全力を出し切れてはいないです。

Snapdragon835世代のスマートフォンであればQuickCharge3.0に対応している物も多く、その場合13W程度まで行けるので、少々もの足りない感じがします。

この時点でこれ以上の充電能力があることは期待薄になってきました。

Power Delivery対応充電器を使った場合の計測結果

Power Delivery対応充電器には以下のRP-PC120を利用しました。窒化ガリウムでコンパクトな割に性能が高いのと、電源プラグ部が折りたためるのが特徴です。

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対応している充電電圧・電流のプロファイルであるPDO(Power Data Object)は以下のようになっています。

以下がRP-PC120で充電した場合の状態を観測した結果です。計測機器の画面では無く、PC上のツールでPower Deliveryのパケットをキャップチャしたものになっています。

USB Type-C Currentでは無く、上位の充電規格であるPower Deliveryがちゃんと働いています。しかしながら、5VのPDOが選択されているため最大でも12Wまでしか電力を引っ張れないモードになっています。

また、実際の充電電流は、やはり標準充電器と同じ2A(10W)前後でした。つまり、どんなに良い充電器を使っても10Wでしか充電できないことが分かりました。

追記:Oculus Quest2にPowerDelivery対応充電器を接続すると、5Vではなく9VのPDOを使うことがありました。普段充電される電力は10Wでこれまでと同じでしたが、スリープ時など時折14W前後の電力を使うこともありました。充電時間が短くなっているとの報告もありますので、OculusQuest2に関してはPowerDelivery対応充電器を使う意味が多少はありそうです。

番外編:Nintendo Switch純正アダプタの場合

Twitterで、Nintendo Switch純正ACアダプタはどうなのか?とコメントを頂いたので追加で調べてみました。

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Nintendo Switchの充電器はPDOは以下でした。かなり変な仕様になっています。

これだと7.5Wでしか充電できなさそうです。(こんな仕様の充電器がこの世に存在してもいいのだろうか・・・)

Power Deliveryのパケットをキャップチャした結果は以下のようになりました。

案の定1.5AのPDOが選ばれ、実際の充電能力は7.1W程度となりました。

ケーブル込みで考えると価格は悪くないものの、充電性能は最適では無いのでOculusQuest用に新たに買う場合には選択肢に入れるべきでは無いでしょう。一方で既にあるものを流用する分にはまあ使えそうという結果になりました。

検証結果のまとめ

初代OculusQuestに関しては、Type-Cに対応した10W以上の充電器であれば、付属の標準充電器と大体同じ、というなんとも面白みの無い結果になりました。その分選択の幅は広がりますが、もう少し急速充電機能を充実させても良かったのではないかと思います。とはいえ、バッテリー容量は14.0Whですから、10Wで充電すれば1時間40分で満充電になるのでそこまで不満を抱くスペックでは無いです。

OculusQuest2に関しては、PowerDelivery対応の充電器を使うと充電時間が短縮される場合があることがわかりました。普段より多く電力を引っ張るようになる条件については詳しくわかっていませんが、わかり次第記事を更新しようと思います。

最後に

検証結果を踏まえてオススメ商品を紹介しようと思ったのですが、PD対応であればどれでも好きな物を選べば良い結果になってしまいました。ただし、公式の充電器は性能・機能の割に割高なので、これを買うのは控えるようにしてください。

実験に利用した前述の商品は、OculusQuestシリーズの充電に十分な能力を持ち、コンパクトで変換効率も高くオススメではあるのですが、RP-PC120は5Vが2.4Aまでなので、その点は注意して下さい。

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