Asynchronous Spacewarp(ASW) 2.0の紹介: Oculusの神技術がさらに進化
Oculusは以前より先進的なフレーム予測・補完技術であるAsynchronous Spacewarp(ASW)をOculus Riftに独占的に適用し、必要なPCスペックを下げてきました。2019年の4月にこの技術がバージョンアップされたので、その紹介です。
Asynchronous Spacewarp 1.0の概要は以下の記事を参照して下さい。
この記事はIntroducing ASW 2.0: Better Accuracy, Lower Latencyの翻訳記事です。
ASW 2.0の紹介:精度の向上、遅延の短縮
数年前、Oculus Rift PCランタイム用のAsynchronous Spacewarp(ASW)をリリースしました。 ASWの技術は裏で密かに動作し、低スペックのハードウェア上で高品質のVRを提供するために、事実上ユーザーに「タダ」でCPUおよびGPUアップグレードしたかのような効果を提供します。 ASWは、ヘッドセットが回転すると(3DOF)、ヘッドの動きを予測し、フレームを補完してスムージングし、カクつきを減らしてVRをより快適にします。
今まで、ASWはランタイム自体に閉じた機能であり、それだけで動作していました。 しかし、それにはもっとよくなるであろう事を私たちは知っていました。今日、私たちはASWへの最初のメジャーアップグレードをリリースすることに興奮しています。 ASW 2.0は以前のバージョンをベースにしつつ、奥行きと回転を考慮して、完全なる6DOFの空間においてヘッドセットの動作をサポートします。 ASW 2.0は、ASWを既存の実験技術であるPositional Timewarp(PTW)と組み合わせて、PCランタイム予測精度を次のレベルに高め、アプリのパフォーマンスとフレームレートをさらに向上させます。
ASW 2.0の利点
ASW 2.0の長所は、いくつかの状況で最もよくわかります。
深刻なフレームレートの低下によるパフォーマンスの向上
ASW 1.0は、ヘッドセットのネイティブフレームレートの半分(例: Oculus Riftでは45Hz)でピークに影響を与えます。ただし、時折生じるアプリがフレームレートの半分を下回るような場合は、ASWが適切に機能しません。 PTWの深度ベースのリプロジェクション(再投影)は、低いフレームレートにおいても、ASW 1.0のフレーム補完機構よりもより正確に機能するため、ASW 2.0ではVRで許容範囲内の見た目を維持できます。
6DOFヘッドセットにおけるトラッキング遅延の短縮
以前のOculus PCランタイムは、トラッキング遅延を短縮するために3DOFヘッドセットを回転軸方向に補正するだけでした。 ASW 2.0とPTWを使用すると、ASWをアクティブにする必要がなくても(訳注:ASW はアプリのフレームレートが下がると自動的に有効になります)、VRアプリのフレームレートに関係なく、PTWは低遅延の6DOF HMDトラッキングを提供し続けます。
繰り返しパターンと視覚的に似た内容をリプロジェクション(再投影)
白いピケットフェンス(隙間がある柵)の後ろにシマウマが立っているとどうなりますか?その正確なシナリオは稀であるかもしれませんが、チェッカーボード模様と縞模様のパターンはVRで非常に一般的であり、特にそれらが層になっている条件はASW 1.0にとって課題です。。 ASW 2.0では、補完の前に深度データを使用してオブジェクトを分離できます。これにより、リプロジェクションのエラーを解決できます。ASW 1.0と2.0で、これがどのように動作するの視覚的なデモンストレーションについては、次のクリップを参照してください。
Action in ASW 2.0
ASW 2.0は深度情報を公開するよう開発者に求めます。 RiftシステムインターフェースのDashでは、Oculus PCランタイムはすでにPTWを使用してパフォーマンスをスムーズにし、Dashインターフェースをアプリのdepth-compositionレイヤの上にブレンドします。そのため、Unreal Engine 4およびUnity上に構築されたOculusストア上のほとんどのRiftアプリケーションは、ASW 2.0を機能させるために必要な詳細情報をすでに提供しています。より多くのアプリがこの情報を提供するにつれて、ASW 2.0サポートはますます普及するようになるでしょう。
必要な深度データを提供しないアプリケーションの場合、Oculus PCランタイムはASW 1.0に戻ります。ただし、Oculus Dashを使用して深度構成を有効にしながらASW 2.0を有効にすることを選択した場合、開発者は自分のアプリケーションを修正するのは簡単です。
ASW 2.0のすべての改良を持ってしても、それが完全に機能しない場合があるかもしれません。そのため、ネイティブのHMDリフレッシュレートでレンダリングできるように開発者にVRアプリを最適化するよう常に依頼しています。 VRを実行できる広範囲のPCハードウェアを考慮すると、ASW 2.0のような機能は、エンドユーザーと開発者の両方にとって最先端のVR体験をスムーズにするのに役立ちます。
ASW 2.0をRiftコミュニティに紹介できることを楽しみにしています。あなたのフィードバックをお待ちしています。 ASWとその関連技術の範囲を広げ続けているため、将来の改善の可能性が不足することはありません。このスペースについてもっと知りましょう。
(翻訳記事終わり)
最後に
記事中にそれとなく書かれていますが、ASW 2.0は既に全てのユーザが利用可能で、アプリケーションが対応していれば恩恵を受けることが出来ます。
最近SteamVRにはAsynchrnous Spacewarpに似た機能としてMotion Smoothingと呼ばれる機能が実装されました。これもViveなど他のヘッドセットで使えるようになるといいのですね。
Asynchrnous Spacewarp 1.0の仕組みについては知りたい方は以下の記事が参考になります。
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