VRに最適なグラフィックスカードの選び方

2017年1月31日

PCでVRをやる上でグラフィックスカードは一番重要な部品です。市販のPCを買う場合でも、どんなグラフィックスカードが搭載されているのかを理解して買わないと後で必ず後悔します。

この記事では、高い物から安い物まで色々な製品がある中から、どれを選べば良いのか?を順を追って説明していきます。

なぜグラフィックスカードが重要なのか

グラフィックスカードは仮想空間の映像を作り出すための部品ですので、重要なのはなんとなくは分かると思います。ですが、一般的なゲームを遊んだりするのと何が違うのでしょうか?

ポイントは、より高い性能が必要なことVR向け支援機能にあります。

両目用の映像が必要

一つは、両目に別々の映像を描画する必要がある、という事情です。

つまり一般的なPCゲームの2倍の性能が必要になる訳です。2倍にならないように処理負荷を抑える技術は存在するのですが、そこまで下がるわけではありませんから、その影響は大きいです。

頻繁な画面更新が必要

もう一つは、頻繁に画面を書き換える必要がある、という事情です。

一般的なPCゲームでは一秒間に40~60回画面を書き換える(fps)のが一般的です。これは一般的な液晶モニタでは60回以上書き換えても意味が無いからです。(それ以上の頻度で書き換えることができる液晶モニタも存在します。)

一方VRでは秒間90回(90fps)が必須です。それを下回るとVRの体験が損なわれVR酔いを招いたりします。

VR特有の事情まとめ

VRでは一般的なPCのゲーム等と比べて 2 × 1.5 = 3倍の性能が必要です。また、描画解像度も高く、リアルな映像であればあるほど没入感が高まりますから、性能はあればあるほどよいことになります。

GeForceとRADEON

グラフィックスカードには、描画処理を行うためのチップであるGPUが搭載されているわけですが、これにはGeForceとRADEONの二種類が存在します。

VRにはGeForceとRADEONどちらを使うべき?おすすめモデルは?

VRをやる上ではGeForceがオススメです。VR Readyな完成品PCを選ぶ際もGeForceの方が一般的で選択肢も多いので、この記事ではどのGeForceを選択するかについて書いていきます。

必要な性能

GeForce における性能

GeForceは大体1年から1年半ごとに新しい世代の製品が発売されます。

2019年4月時点での最新はGeForce GTX 1600/RTX 2000シリーズ(Turingアーキテクチャ)です。

性能に応じた複数商品が販売されていますが、その中でもミドルレンジのGeForce GTX 1660がVR Readyとして、最低限の性能の製品として位置づけられています。

ですので、性能と価格のバランスを取りたい場合はGeForce GTX 1660を選んでおけばよいでしょう。前世代のGTX 1600も同じ性能を持ち、型落ちの分安いので悪くない選択です。

しかしながら、より多くのVRコンテンツを楽しみたい、より画質を求めたい場合はより上のクラスの製品を選んでおくと安心です。

各VRプラットフォームにおける必要性能の違い

PC用のVRはOculus Rift/HTC VIVE/Microsoft Windows Mixed Realityの大きく三つに分かれます。

それぞれヘッドマウントディスプレイの解像度が違ったり、フレームレート向上のための技術が使えたり使えなかったりするために、必要な性能が若干異なります。

ざっくりとした快適さ指標

GeForce のモデル 価格帯 VRMark Oculus Rift HTC VIVE Windows MR
GTX 1050 Ti 15,000円 4000 ややつらい かなりつらい かなりつらい
(非ゲームアプリは動作)
GTX 1650 18,000円

20,000円
5000
GTX 1060 25,000円

35,000円
7000 問題なし おおむね問題なし おおむね問題なし
GTX 1660 25,000円

35,000円
7500 問題なし おおむね問題なし おおむね問題なし
GTX 1660Ti 35,000円

40,000円
9500 快適 快適 快適
RTX 2060 40,000円

50,000円
9800 快適 快適 快適
GTX 1070 45,000円

60,000円
9800 快適 快適 快適
GTX 1070Ti 65,000円

75,000円
10900 非常に快適 非常に快適 非常に快適
RTX 2070 50,000円

60,000円
11500 非常に快適 非常に快適 非常に快適
GTX 1080 70,000円

80,000円
11500 非常に快適 非常に快適 非常に快適
RTX 2080 90,000円

100,000円
11500 非常に快適 非常に快適 非常に快適
GTX 1080 Ti 80,000円

100,000円
11500 非常に快適 非常に快適 非常に快適
RTX 2080 Ti 140,000円

160,000円
11500 非常に快適 非常に快適 非常に快適

Oculus Riftだけ要求性能が低い

大抵のVRコンテンツはGeForce GTX 1060を基準に調整されていますので、この性能で動かせないVRコンテンツはほぼ無いと考えて良いです。

しかしながら、描画設定を軽い設定にしないといけないなど、性能不足を感じる場面はしばしばあります。

Oculus RiftにはAsynchronous Spacewarpがあるため、性能が足りずにフレームレートが低下していても、それに気づきにくくなっています。

Asynchronous Spacewarpとは?よくある誤解とチューニング方法

とはいえ、Oculus RiftでもHTC VIVEと同じようにSteamVRのソフトも動かすことがありますから、Asynchronous Spacewarpに頼りっきりになるGeForceGTX 1050 Tiではさすがに不十分です。

世界最大のVRマーケットSteamVR

GTX 1080以上は性能が頭打ち?

VRMarkと書かれている列はVRMarkと呼ばれる性能測定ソフトのスコア値です。低~中価格帯はある程度価格に連動して性能スコアが向上していますが、高価格帯ではスコアが頭打ちになっているのが分かります。

これはVRMarkの中でも中程度の複雑さを持つOrange Roomと呼ばれるモードのスコアを記載しているためです。より高度なグラフィックス機能を使うタイトルであれば、高価格帯のグラフィックスカードのスコアが中価格帯を大きく引き離します。しかしながら、VRのタイトルではそのような絵の綺麗なタイトルの割合は少なめです。

一方、VRの設定の中にはグラフィックスの精細度を表す内部解像度と呼ばれるパラメータもあります。この設定を標準から変更してより綺麗な画面を描画させる場合は、高価格帯のグラフィックスカードの価値が出てきます。

GTXとRTX

製品ラインナップはGPUの世代とは別にGTXとRTXと呼ばれる二つの種類に分かれます。GTXは従来通りの機能を持ちますがRTXはRaytracingとよばれる最新の描画技術の性能を高める機能(RT Core)が搭載されています。その分価格も若干高めです。

PlayStation5でも採用されるRaytracing(DXR/RTX)の概要とデモアプリ3つを紹介

VRにおいてはRaytracing機能を活用したタイトルは存在しませんので、RTXの存在はほぼ無視できます。Raytracingに対応したリッチな3Dゲームを遊びたい場合はRTXシリーズを選ぶ余地がありますが、VRのためだけにグラフィックスカードを選ぶ場合はGTXの方が割安になる傾向があります。

製品の細かい違い

前述の説明で、各製品の大体の性能と、自分にはどれぐらいのランクの物が適切なのか、がつかめたと思います。

ですが、GPUのチップに対応する製品は一つでは無く、一つの会社からも複数のモデルが販売されています。

次にどういう違いがあるのかを説明していきます。

Founder Editionとオリジナルデザイン

各社Founder Editionと呼ばれるモデルとそうでないモデルを出しています。

Founder Edition

Founder Editionはチップの設計メーカーであるNVIDIAが設計した回路デザインを使ってそのまま製品化したものです。価格は安めですが、メーカー各自の特色は出にくく、メーカー独自の改善は含まれていません。

オリジナルデザイン

Founder Editionと付いていない物は、各メーカーが独自の改善を適用したモデルです。冷却性能や静音性が向上していたり、GPUのクロックを高くして性能も高めているものもあります。

オリジナルの中では、動作クロックを高めつつファンをより強化した製品、カードのサイズを小さくした製品、カードの裏面の鉄板(バックプレート)を省いてコストを下げた製品など色々なバリエーションが存在します。

どちらを買えばいいの?

大体GeForce GTX 1660Ti/1070ぐらいのランクになると発熱が大きくなるため、冷却性能が非常に重要になってきます。

冷却が不十分でチップの温度が高止まりしてしまうと、GPUは自主的に性能を下げて発熱を抑えます。つまり高いクラスにおいて、グラフィックスカードの冷却性能はグラフィックスカードの性能そのものと言えます。

言い換えると、Geforce GTX 1060/1660以下のモデルでは、Founder Editionとオリジナルモデルの差はあまり感じられないかもしれません。

同じぐらいの値段であれば、メーカーの独自モデルの方がオススメです。

メーカーの違い

どのメーカーを選ぶかはなかなか難しい問題です。各社特色があり、語ればきりがありません。

普通に使う分には大きな差は無く、完成品のPCでもメーカーまで記載してあることはあまりないので、そこまで気にする必要は無いでしょう。

とことん調べ抜きたい、英語でもよいので情報が欲しい、という方はNewEggのレビュー記事を参考にすると良いでしょう。例えば、国内でもやたら販売価格の安いGTX 1080 Ti ARMOR 11G OCはファンの性能が低くて地雷みたいなことも簡単に分かります。

MSI

国内では割と人気があるメーカーです。日本では代理店のアスクが輸入販売元ですが、並行輸入品も含めてMSI本社でもサポートを受けられるようです。

After Burnerと呼ばれる制御ソフトの完成度が高いのが人気のポイントと思います。

ASUS

スマートフォンやノートPCでもおなじみのメーカーです。知名度が高くこちらも人気があります。

玄人志向

輸入代理店のCFD販売の製品ブランドです。代理店マージンがアスクよりは低いので若干価格は安めです。その分、ただ、たまにへんてこな仕様の製品が混ざっていることがあるので注意が必要です。

ZOTAC

香港の振興メーカーです。日本では代理店のアスクが輸入販売元になっています。大手メーカに比べて安価な割に物は良く、コストパフォーマンスは高いと感じます。

Palit Microsystems

PCショップのDOSVパラダイスが輸入販売を行っているメーカーです。DOSVパラダイスでしか取り扱いがありませんが、こちらも価格は若干安めです。

DOSVパラダイスでVR ReadyなPCを買うとほぼこれが搭載されています。

EVGA

日本には代理店か無く日本での販売はありませんが、品質が高いことで定評があり、米国のシェアもトップのメーカーです。グローバルで3年保証が有り、国内からもサポートや不良品交換(RMA)が受けられます。

買うためには海外の通販を使う必要があり、送料が高めにかかりますが、代理店マージンがない分かえって安く入手できます。海外数版に抵抗が無いのであれば、個人的には割とベストな選択と考えます。

まとめ

VR用に新しくグラフィックスカードを買う場合は、最低でもGeforce GTX 1600/1660を、財布に余裕がある場合はGeforce GTX 1660Ti/1070以上のクラスを買うべきです。

もともとGeForceGTX 1050Ti/1650Tiもしくは同等性能のグラフィックスカードを持っている場合は、急いで買い換えずにまず様子を見てみるのも手かもしれません。

ちなみに管理人は、VR用に以下のGeforce GTX 1060オリジナルファンモデル(現世代だとGTX 1660とGTX 1660Tiの間ぐらいの性能に相当)を購入しました。

一般的なGeforce GTX 1060よりも性能が高いモデルであるため、使っていて特に不満はありませんでしたし、オススメです。

追記:後日他の用途との兼ね合いでGeforce GTX 1080 Tiを購入しました。

グラフィックスカードを輸入してみたらこんなに楽で安かった

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