PlayStation VRは買いか?HTC VIVEやOculus Riftと比較して何が違う?
「HTC VIVE」や「Oculus Rift」などのPC用VRと、「PlayStation VR」を比較したときのメリット・デメリットを買ってから後悔しないようにまとめてみました。この記事を読めば、どんな人がPlayStation VRを買うとうれしいのか?について理解できるはずです。
いきなり結論
もともとPlayStation4を持っていたり PlayStation4でやりたいソフトがある場合、VRそのものにかかる費用は安いので、PlayStation VRはコストパフォーマンス的に悪くない選択肢です。
また、PlayStation VRでしか遊べない独占ソフトもいくつかあるため、その中に遊びたいものがあれば買う価値があります。
ただし、PlayStation VRでは、HTC VIVEやOculus Riftと同等の体験を得ることが現時点ではできません。同等の体験を得られるようにするためのオプションも存在しません。
また、今後のオプション発売などによって、そうなる可能性も低いです。あくまでもPlayStaion4のゲームをVRヘッドマウントディスプレイをつけて3Dで遊ぶためのもの、と割り切って買うのが無難です。どういうことかを説明していきます。
PlayStation VRの魅力とは?
ソフトラインナップの違い
PlayStation VRは、今一番勢いがあるゲーム専用プラットフォームであるPlayStation4に、オプション機器を追加購入することで利用できるVRプラットフォームです。利用できるソフトは、もともとテレビで遊べる大作ソフトや、大手ゲーム会社にソニーの資金をつぎ込んで開発したソフトなど、多種多様なものがあります。
Oculus RiftやHTC VIVEでも、VRに対応した大作ソフトリリースが予定されてはいます。しかしながら、現在SteamVR等で購入できるソフトは中堅のインディーズが中心で、大手のゲーム会社はあまり参入していません。
この違いがPlayStation VRの最大の魅力です。といっても、まだプラットフォームはできたばかりですので、現時点では大手ゲーム会社のPlayStation VR対応ソフトが多いわけではありません。Oculus RiftやHTC VIVEで既に有名なソフトも、主力ラインナップに含まれている状況です。
2017年2月現在もPlayStation VRは品薄で購入が難しい状況が続いています。十分な数が市場に行き渡るまでは、大手ゲーム会社もソフトを開発するか様子見する状況が続くかもしれません。ですが、この勢いが衰えなければ参入するゲーム会社はそれなりに多くなることが予想されます。
液晶の綺麗さ
PlayStation VRは、Oculus RiftやHTC VIVEと同じ種類の液晶である有機EL液晶を採用しています。
液晶の枚数や解像度は明らかにPlayStation VRの方が劣っているのですが、液晶素子の配列がペンタイル配列では無く、RGB配列であるため、実際の画面の印象はPlayStation VRの方が明らかに良いです。
液晶素子の配列については以下の記事も参照して下さい。
画面ぼけとPlayStation4 Pro
ただし、PlayStation VRの液晶に出す方のPlayStation4本体が、液晶の品質を生かし切れているとは言えません。つまりPlayStation4では性能が足りていません。そのため、ゲームによってはぼけた印象を与えてしまっています。
PlayStation4には性能が約2倍に向上したPlayStation4 Proがあります。このPlayStation4 ProとProモードに対応したPlayStation VR用ソフトであれば、ぼけない綺麗な画面を楽しむことができます。画面の綺麗さを期待するのであれば、PlayStation4 Proはほぼ必須要件になると考えておいた方が良いでしょう。
価格が安い
PlayStation VR自体の価格が48,578円とHTC VIVEやOculus Riftに比べて半額近いです。それに加えて、HTC VIVEやOculus Riftでは高性能なゲームPCが必要なのに対して、PlayStation VRはPlayStation4があれば動かせます。PlayStation4 Proを前提としても、全部そろえた時の価格は10万円ぐらい違ってくるでしょう。
(2017年3月追記)Oculus Riftの値下げが発表され、値段差は縮まりました。
その代わり、PlayStation VRにはどうしてもできないこともあります。
PlayStation VRの欠点とは?
トラッキング範囲が狭い
つまりルームスケールVRに対応していません。
「人の頭がテレビからどれぐらい離れた位置にいるのか?」「どの方向を向きどのような姿勢なのか?」を検知してゲーム内に反映させるために、PlayStation VRではPlayStation Cameraを利用しています。
PlayStation Cameraについて
PlayStation Cameraには、PlayStation4と同時に発売された第1世代とPlayStation4 VRと同時に発売された第2世代があります。リンク先を見て頂ければ分かる通り、両者の性能は基本的には同じです。
このPlayStation Cameraは元々PlayStation4専用コントローラであるDualShock4の位置を検出して、複数居るプレイヤーの並びを自動判断したり、ゲームの中のオブジェクトを操作したりするために用意されたものです。後述するPlayStation MoveもPlayStation3で登場し、利用できるようにはなっています。(PlayStation4用のPlayStation Moveだけに対応したソフトは無い、もしくはとても少ないです。)
そのため、PlayStation Cameraはテレビの前にあるものを録画したり、位置を検出するのに特化しています。従って、テレビの前を離れるような場合の検出は非常に不得意であり、サポートされていません。
この点ルームスケールVRを売りとするHTC VIVEや、オプションカメラの追加により対応するOculus Riftと大きく違い、劣る点です。
ルームスケールVRとは
ルームスケールVRとはVR空間を動き回る体験を提供するVRのことです。自身の体を動かさず、コントローラ等によってVR空間内を移動すると、人の中にある認知機能が混乱してVR酔いが起こってしまいます。これには個人差がありますし、演出の工夫で和らげることもできますが、完全に取り除くことはできません。またゲーム内容にも制約ができてしまいます。
ルームスケールVRを当初から持つHTC VIVEは発売してから、大幅に先行するOculus Riftに肩を並べる存在になりましたし、PlayStation VRと同じように広い範囲を動けないOculus Rift自身も後からルームスケールに対応しました。このことからVRにはルームスケールが必須と言えますし、私自身もそう考えます。
PlayStation VRがルームスケールVRに対応しないところは、HTC VIVEやOculus Riftのルームスケールを体験した後だと、確実にがっかりします。そのため、買う前に大手ゲーム会社が開発したソフトを3Dで遊ぶのだ、と割り切りが必要というわけです。
とはいえ、単に3Dテレビで遊ぶのとは臨場感・没入感が桁違いに違いますし、狭い範囲絵であれば動けるので、ちゃんとVR空間に居る感覚は十分に味わえます。
モーションコントローラの世代が古い
モーションコントローラ、つまりボタンだけで無く、手や腕自体の動きによってVR空間内の物体に直接働きかけるためのコントローラとして、PlayStation VRではPlayStation Moveが用意されています。
HTC VIVEのVIVE Controller、Oculus RiftのOculus TouchはそれぞれVRのために開発されたものですが、PlayStation MoveはPlayStation3の時代にWiiリモコンの対抗馬として用意されました。つまり、モーションコントロール機能を持つもののVRのために設計されて特殊な機能を持っているわけではありません。
Wiiリモコンの対抗馬だけあって、6軸センサやポジショントラッキング等の基本機能は搭載していますが、微細な振動で触感を表現するための機能、いわゆるハプティクスには対応していません。(Nintendo SwitchでHD振動と呼ばれる機能がありますが、同じようなものだと言われています。)
VRの体験に直接は関係ありませんが、タッチパッドやアナログスティック等のアナログ入力も備えていません。
VIVE Controller (HTC VIVE) |
Oculus Touch (Oculus Rift) |
PlayStation Move (PlayStation VR) |
|
---|---|---|---|
3軸ジャイロセンサ | あり | あり | あり |
3軸加速度センサ | あり | あり | あり |
地磁気センサ | なし | なし | あり |
ポジショントラッキング | 複数カメラに対応 | 複数カメラに対応 | 1つのカメラのみに対応 |
振動 | 微細な振動 (Haptics)対応 |
微細な振動 (Haptics)対応 |
振動モータによる従来の振動 |
アナログ入力 | タッチパッド | アナログスティック | なし |
これらスペックの差は致命的では無いのですが、留意しておきたい点です。
モーションコントローラ対応ソフトが少ない
ルームスケールVRに対応していないことと関係が深いのですが、モーションコントローラであるPlayStation Moveに対応したPlayStation VR用ソフトは今のところ少ないです。対応しているソフトも「サイリウムを振ってみる」のようなオマケ的な位置づけの物も含まれています。(PSVRソフト一覧)
PlayStation VRに全編対応したことで話題になった大型ソフト「バイオハザード7」もPlayStation Moveには対応しませんでした。PlayStation VRとテレビの通常プレイに対応するソフトはあくまでも、通常プレイの方がメインであり、全く違う操作系に対応することは開発する労力が大幅に増えるため、これからでるであろう専用ソフトに期待するしかなさそうです。
まとめ
PlayStation VRはPlayStation4のオプションで実現されるプラットフォームです。それがメリットでもあり、デメリットでもあります。
PlayStation4の豊富なソフトラインナップの後押しがあるものの、
- PlayStation4で出すからには標準コントローラ(DualShock4)もサポートして、PlayStation VRを持ってない人にも買って欲しい
- ルームスケールが無いので VRならではのソフトが作りにくい
- PlayStation Moveが別売りなので、PlayStation Moveでの操作部分に凝ってもしょうがない
といった、VRに本格対応したソフトが出にくいジレンマが生じてしまっています。
もともとPlayStation4で遊びたいソフトがあって、テレビでの通常プレイにある程度満足しており、それをさらにVRで楽しんでみたい、と割り切った条件であればオススメできます。サマーレッスンのようにVRを生かした専用ソフトもちゃんとあります。
ただ、HTC VIVEやOculus Riftのような体験がPlayStation4できるんだ、と飛びついてしまうとがっかりしてしまうので、そこは注意が必要です。
さらに、PlayStation VRの長所である液晶の綺麗さを生かすために、PlayStation4 Proを前提に考えておいた方が良いしょう。今PlayStation4を持っている人は、PlayStation VRだけを購入した上でProの購入を判断すれば良いと思いますが、これからPlayStation4とPlayStation VRを同時に買おうとしている人は、はじめからPlayStation4 Proを選んで置くべきです。
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