SEIYAプレイレビュー: 歌詞をひたすら叩く新感覚のVR音楽ゲーム

HTC VIVE/Oculus Touch対応のVR音楽ゲームSEIYA(セイヤ)についてのプレイレビューです。歌詞が飛んできてリズムを気にせず力いっぱい叩くと他のVR音ゲーとは変わったユニークな作りになっています。

叩く強さがゲーム性に影響を与えるものとしてはSoundboxingが、PlayStationVRにも移植された純国産の正当派としてはAirtoneがありますが、これらとどう違うのかもまとめていきます。

どんなゲーム?

「歌詞」そのものがノーツとして飛んでくる国産のVR音楽ゲームです。叩くことで実際にメロディを奏でる事が出来ます。

前方スクリーンから放物線を描いて飛んで来る「星」のオブジェクトをひたすら叩きます。楽曲は全て歌詞のあるボーカル曲で、歌が乗っているところは星の中に歌詞が入っています。

この星をマイク状のコントローラで叩くとそのキーワードの歌が、間奏ならメロディが流れます。

類似ゲームとの違いは?

まず、「叩く」に重きを置いているのがこのゲームの特徴です。タイミングの判定は割と甘く早い分には問題ないですが、高得点を得るには飛んでくる星を強く叩く必要があります。

公式のゲーム紹介では「星をパンチする」と説明されていますが、単に手を突き出すだけでは強さが足りないことが多いです。そのため、手首のスナップをきかせて「叩く」のがこのゲームの主なプレイスタイルになります。叩く対象の星は前方から放物線上に飛んできますから、飛んでくる星を叩き返している思いっきり叩き返す感覚でプレイすることになります。

また、「叩く」対象が歌詞であることもユニークな点です。叩くときに歌詞の文字も目に入りますから、プレイし続けて余裕が出てくると、その歌詞を自分で歌っているかのような不思議な感覚になることもあります。

曲の難易度は易しいものから、大量の星が飛んできてどうしたらいいのか分からないぐらい難しい物まで色々あります。前述の通り判定のタイミングは甘いため、星を叩き逃してミスすることはあまりありません。その代わり「星を強く叩くにはどういった手さばきをすれば良いか」を意識するところが主なゲーム性になっています。純粋に音ゲーであることを突き詰めたAirtoneとは対照的です。

単にフルコンボを目指すだけであれば手を適当に伸ばして合わせれば良く、広い範囲を気にする必要もありません。ゲームとしての間口は広いと言えます。そして、強く叩くことを意識することはエクササイズにもなり、本気で遊ぶと心地よい疲労感を得ることができます。このあたりはSoundboxingと似ています。

ゲーム全体の雰囲気は、派手なお祭り感を演出する作りになっており、Soundboxingの少し味気ない雰囲気より好感は持てます。(が、この辺は人によって好みは分かれるでしょう)

譜面はどこから入手する?どんな雰囲気の曲が多い?

SEIYAには25曲の楽曲が収録されています。初めはプレイできる楽曲は10曲に限られていますが、プレイし続けることにより曲がアンロックされていきます。

楽曲の内容はアップテンポな曲が多く、「(美少女系)VRゲームとのコラボ曲」や「ボーカロイド系の曲」が中心です。このあたりは人を強く選ぶかもしれません。

  • コラボ楽曲
    • Stylink Trigger(sleep)
    • Atelier ladybird(恋色メモリー from VRカノジョ)
    • technoplanet(Tepic Tepoch)
    • ORI姫(夕影~Small Earth~)
    • 有野いく(カラフル揚げーション)
    • VRJCC(Windbreaker from なないちゃんとあそぼ!)
    • Daisuke Ohnuma(Shanghai Ying-Yang Express)
    • 上村香月 X ORI姫(プラネタリウム)
  • オリジナル楽曲(Composed by BEN / 有機サラダ / RYO KAKUTA)
    • Kimochi
    • SEIYA
    • Not alone
    • フューチャリズム
    • キラキラ☆stardust
    • MALIZIA ~あの頃愛した中2な曲~
    • Small Parade
    • Will you
    • 追憶の街
    • Just for you
    • 波にNotteke
    • 大姫物語
    • 放課後はSecLet’s
    • ツバサ
    • アライバル

類似ゲームとの譜面の扱いの比較

Soundboxingでは別プレイヤーが作成した譜面で遊ぶことが前提でした。またAudioShieldでは自分の持っている楽曲などから譜面を自動生成していました。つまりゲームソフトには楽曲や譜面は付属しておらず、プレイヤー自身が探す必要がありました。

SEIYAではAirtoneと同様に楽曲がはじめから付属しています。そのため、プレイヤー自身が好きな譜面を増やすことはできませんが、その反面ステージの品質や難易度にばらつきがなく、ゲームとしての品質がはじめから保証されていると言えます。むしろ、ゲームの核である「歌詞を叩く」は楽曲と密接に関わっていますから、曲が付属する形になっているのは必然と言えます。

難易度はNormal, Hard, Super, SEIYAの4段階ありますが、星が飛んでくる速さが変わるだけで、星の配置は全て同じです。Airtoneでは難易度ごとに譜面が違った(単に間引かれていたものも多かったですが)ため、同じ25曲でも実質的なボリュームには差があります。

安定性

βテスト期間を経てリリースされており、非常に安定しています。

購入方法

2018年4月現在ではSteamからのみ購入できます。

HTC VIVEとOculus Riftにネイティブで両対応しており、起動時にどちらのモードで起動するかを選ぶことができるようになっています。

Steam

操作性

タッチ系コントローラが必要ですが、特に操作自体は難しくはなく認識精度も問題はありません。

星が飛んでくる範囲が狭めになっているため、プレイエリアもそれほど広くなくても問題ありません。

ただし、「強く叩く」操作を要求する都合上、周囲にぶつかる物が無いかを他のVR音ゲー以上に気を遣う必要があります。また、手首のスナップをきかせるプレイスタイルになるため、コントローラ付属のストラップでコントローラがすっぽ抜けないように装着しておくことも重要です。

酔いやすさ

固定視点であるため、長時間プレイしても酔いは感じませんでした。

最後に

このサイトでオススメしているVR音ゲーのSoundboxingに近いものの、歌詞を前面に押し出しているカラオケ感がユニークです。国産でかつゲームとしての出来も悪くないです。

それ故に楽曲の内容が非常に偏っているのが惜しまれるところです。SoundBoxingは洋楽・邦楽・アニメ・ゲームと幅広い範囲をカバーしています(偏りはあります)し、Airtoneはラウンジ系の好みが強く出ない楽曲が中心でしたから、1,950円という価格をどう見るかは楽曲が好みに合うかにかなり左右されます

必ず歌詞のある楽曲が必要になる都合上、ボーカロイド系の曲が多くなってしまうのは仕方が無いのですが、歌詞をゲームの核に据える代償として楽曲が偏ってしまうのは残念に感じます。とはいえ、楽曲のクオリティ自体が低いわけでは無く、曲調のバリエーションもそれなりにあるので、ボーカロイド系に抵抗が無いなら試してみると良いのではないでしょうか。

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