SideQuestを使ってOculus Quest1&2に非公式アプリ(apk)を楽々インストール

2019年6月2日

SideQuestというGUIアプリで、非公式アプリ(apk)を簡単にインストールできるのでその方法を詳しく紹介します。その他の便利機能や細かい設定についても、OculusQuest2発売に合わせて最新の情報を追記しています。

コマンドラインでインストールしたい場合はこちらの記事を参照して下さい。

SideQuestとは

SideQuestは、Oculus QuestやOculus Goを初めとするAndroidのスタンドアロンヘッドセットへ、任意のアプリケーションを簡単にインストールするためのPC用ツールです。

リリース当初はユーティリティの詰め合わせのようなソフトでしたが、現在はOculusと独立したストアアプリとしても運営されています。ここでは有志の勝手アプリのほか、様々な事情でOculusの審査を通すことができず、Oculusの公式ストアで配布できなかったアプリも配布されて います。

この記事ではOculus Quest向けに非公式アプリ(apk)をインストールする方法や、その他の便利な使い方を説明しています。

SideQuestの機能

  • ADB PlatformTools の自動ダウンロード(Windows / MacOS / Linuxに対応)
  • 開発者モードを有効にするため手順を表示
  • 任意のapkをドラッグ&ドロップでインストールする機能
  • ドラッグ&ドロップ対応のファイルマネージャ
  • アプリケーションの管理とバックアップ機能
  • 独自ストア機能

準備

SideQuestをOculus Questで利用するには、「開発者モードの有効化」と「USBドライバのインストール」が必要です。SideQuestのセットアップ時にはこれらの設定を自動で行ってくれないので、利用者自身が手で作業する必要があります。

開発者モードを有効にする

スマートフォンのOculusアプリを開き、開発者モードを有効にします。

  1. アプリから開発者モードを有効にしたい機器(Oculus Quest/Go)を選択、開いたサブメニューから「その他の設定」を選択します。
  2. 「その他の設定」から「開発者モード」を選択します。
  3. 「開発者モード」スイッチをオンにします。

スイッチをオンにしようとすると、開発者組織の登録をするか聞かれるので、「はい」を選びブラウザから開発者名を登録します。(アプリをストアに出すわけでは無いのでどんな名前でも構いません。)

登録が終わるとスイッチをオンに出来るようになります。

Oculus Quest/Goのドライバをインストールする

Oculus Quest/GoをPCとつなぐためのドライバをインストールします。

  1. Oculusの開発者向けサイト からドライバをダウンロードします。
  2. oculus-go-adb-driver-2.0.zipを展開し、android_winusb.inf右クリックして「インストール」を選びます。

SideQuestのダウンロードと初期設定

SideQuestのダウンロード

SideQuestは公式ページからダウンロードできます。Windowsの場合はWindows Download: DOWNLOAD FOR WINDOWS 10 X64を選びます。

SideQuest-Setup-?.?.?-x64-win.exeをダブルクリックして起動すると、インストールが始まります。

SideQuestのインストール

SideQuestのインストーラを起動すると、まずシステム全体にインストールするのか利用しているアカウント用にインストールするかを聞かれます。特に理由が無ければ、利用しているアカウント用にインストールする「現在のユーザのみにインストールする」を選べばOKです。

その後「次へ」「インストール」を選んでいけばインストールが完了します。

PCとの接続許可

SideQuestを起動し、正常にOculus Questとの接続が完了すると、タイトルバーに「Connected」と表示されます。

初回に限りOculus Quest側にPCとの接続を許可するかを選択するダイアログが出ます。Oculus Questのコントローラを使って、許可を選んでおいて下さい。

任意のapkのインストール方法

SideQuestのウィンドウにapkファイルをドラッグ&ドロップするだけです。簡単ですね。ただし、右上のメニューバー部分にしかドロップできないので、そこだけ注意して下さい。正しい場所にドラッグすると画面のように「Drop Files(s) here」と表示されるのでそのままボタンを離してドロップすればOKです。

また右上のアイコンが並んでいる中にある「下矢印のアイコン」(画面中の矢印で指している部分)を選ぶと、ファイルダイアログからapkファイルを選択し、インストールすることも出来ます。

ストア機能による勝手アプリのインストール

外部から入手したapkファイルのインストール(sideloading)の方法は以上ですが、Oculus公式ストアのようにメニューから選んでインストールする機能もあります。どちらかと言えばこちらの方がメインの機能です。

ストア機能の利用方法

次のどちらかの方法でアプリを探すことになります。

  • トップページの一番最初にあるsearch games…に名前を入れて検索する
  • ページを下にスクロールすることで右側に表示されるTagsからお目当てのアプリを絞り込む

お目当てのアプリのページを開けたら INSTALL TO HEADSET を選ぶだけです。

インストールされたアプリの実行方法

Oculusのライブラリに「提供元不明のアプリ」という項目が増えますので、ここからインストールしたアプリを起動することができます。

もしインストールしたのに項目が表示されない場合は、一端再起動してみて下さい。再起動は電源ボタンを長押しすると表示される電源メニューから行えます。

Oculus Quest1 の場合

Oculus Quest2 の場合

インストールされたアプリの削除方法

SideQuestのアプリ一覧画面からアンインストールすることが出来ます。

  1. 右上タイトルバー右側の中のアプリリストアイコンをクリックします。
  2. インストールされているアプリの一覧(アプリ名では無くアプリの識別子)が表示されるので、アンインストールしたいアプリを探します。
    • ALVRの場合は「com.polygraphene.alvr」です。
  3. 右側の歯車ボタンを押します。
  4. すると次のような「App Settings」のウィンドウが開くので UNINSTALL APP を選択します。

このアプリ管理画面には他にもいろいろな機能があります。これについては後で説明します。

他の機能

メニュー項目の説明

SideQuestの各種機能は右上のアイコンから呼び出せます。これらについて左から順番に内容を説明していきます。

どれのことを指しているかわかりにくい場合は、マウスカーソルをアイコンの上に置くとアイコンの名前が表示されるので、それを参照してください。
(画像は地球儀のアイコンの上にマウスカーソルを置いてます。)

  • Back/WebBrowser/Forward
    • SideQuestのWebサイトを表示します。ここからはSideQuestストア内で配布されているにアプリをインストールできます。
  • Stream from your headset to your PC with ScrCpy
    • ScrCpyと呼ばれるユーティリティを使ってOculus Quest内の映像をPCにストリーミング、録画します。
  • Enable wireless mode.
    • PCとOculusQuestの接続にUSBケーブルではなく無線を使うようにします。Oculus Questを再起動するたびに設定が必要です。
  • Install APK file from folder on computer
    • ダイアログからapkファイルを選択してapkをインストールします。
  • Currently installed apps
    • Oculus Quest内にインストールされているアプリの一覧を表示し、アンインストールやバックアップなどを行うメニューを表示します。
  • Running 0 taks
    • ここにはapkのインストールやセーブデータのバックアップなど、時間がかかる処理の進行状況が表示されます。
    • クリックするとタスク管理画面に入り、進行中のタスクや既に完了したタスクの一覧を見ることができます。完了したタスクはリトライも可能です。
  • Device Settings & tools
    • SdieQuestが管理するPC内のフォルダを開いたり、Oculus Quest本体の隠し設定やデバッグ設定を変更します。

機能詳細

メニュー項目から選べる一部の機能については詳細画面がさらに表示されるので、その内容について詳しく説明します。

Currently installed apps

前述のアンインストール方法の説明でも触れましたが、この画面ではOculus Questにインストールされているアプリの一覧が表示されます。

アプリのID名の右側にある歯車アイコンを選ぶとそのアプリに関するメニューがさらに表示され、いろいろな操作を行うことができます。

  • LAUNCH APP
    • 選択したアプリを起動します。
  • FORCE CLOSE APP
    • 選択したアプリを強制終了します。
  • CLEAR APP DATA
    • 選択したアプリのデータ領域(セーブデータ)を初期化します。
  • UNINSTALL APP
    • 選択したアプリをアンインストールします。と同時にデータ領域も削除します。「
    • BACKUP APK FILE」で事前にAPKファイルを保存しておくとアプリ自体の復元は可能ですが、データ領域を復元するには「BACKUP GAME DATA」で個別にデータをバックアップする必要があります。
  • OPEN BACKUPS
    • 選択したアプリについて、「BAKEUP GAME DATA」と「BACKUP APK FILE」を選んだ場合の保存先となるPC側のフォルダを開きます。
  • BACKUP GAME DATA
    • 選択したアプリのデータ領域(セーブデータ)をPCにコピーします。
    • コピーされたバックアップデータがPCに既に存在する場合は、このボタンの下にコピーした日付の一覧が表示され、左側の丸い矢印のボタンを選ぶことでデータ領域を復元することが出来ます。
    • セーブデータのバックアップ復元に関しては個別の記事がありますので、併せて参照してください。
  • BACKUP APK FILE
    • 選択したアプリの本体(apk)ファイルをPCにコピーします。
    • データ領域はコピーされないので、そちらを保存したい場合は「BACKUP GAME DATA」を併用する必要があります。

Oculus Quest/Oculus GoはAndroidをベースとしているので、アプリ本体とデータ領域の扱いもAndroidと同じになっていることに注意して下さい。

データ領域は個別にバックアップ・リストアできるものの、アプリ本体を削除した場合はデータ領域も一緒に削除されてしまいます。この点はゲーム機の一般的な動作とは異なります。

Device Settings & tools

  • SideQuest Folders
    • OPEN MAIN APP FOLDER
      • SideQuestがインストールされているフォルダをエクスプローラで開きます。
    • OPEN APK BACKUP FOLDER
      • アプリ本体(apk)がバックアップあれているフォルダをエクスプローラで開きます。
    • OPEN ADB FOLDER
      • SideQuestが使うAndroidのシステムツールがインストールされているフォルダを開きます。
      • コマンドラインで上級者向けの操作を行う場合にこのフォルダのプログラムを使うことが出来ます。
  • Refresh Rate
    • Oculus Quest2で利用可能なリフレッシュレートの種別を増やします。
    • 90Hzに設定しても90Hzにならないアプリもあります。
  • Pavlov Settings
    • Pavlov VRと呼ばれるゲームにの設定を行います。
  • Chromatic Aberration
    • Chromatic Aberration(色収差)補正に関する設定を行います。
      • DEFAULT – 初期設定です
      • APP SELECTED – 選択されたアプリのみ(選択方法は不明)
      • ON – 常に有効
      • OFF – 常に無効
  • Guardian
    • プレイスペースの端でガーディアン境界が表示されるのを無効化します。
  • Full Rate Capture
    • Oculus Questの画面を動画キャプチャする際にデフォルトの30fpsではなく、60や72といった本来のフレームレートでキャプチャします。
  • Paste Text to your device
    • PC側でコピーされたテキストデータ(クリップボードの内容を)をOculus Questのテキスト入力画面にペーストします。
    • ブラウザ内でのユーザ認証画面等で長いパスワードをソフトウェアキーボードで打たずに済みます。
  • Set FFR ( Fixed Foveated Rendering ) level
    • 視界の端の方の描画品質をどれぐらい下げるかを設定します。
      • Fixed Foveated Renderingは、描画画面の中心に比べて端の方では描画品質を下げても気づきにくいことを利用した、処理負荷低減のための最適化テクニックのことです。
    • このレベルを挙げれば挙げるほど、端の方の描画解像度が下がり、処理負荷が下がります。
      • 結果としてフレームレートが上がったり、Oculus Quest本体の発熱が減ったり、バッテリーが長く持つようになります。
      • 当然描画品質の低下により、FFRが使われていることをより気づきやすくなるデメリットはあります。
      • 本来は処理負荷に応じて動的に変わるものですが、この設定によって固定されます
  • Set CPU and GPU level
    • CPU・GPUのクロックを標準より高く設定します。これにより、フレームレートが上がったりしますが、FFR Levelと同様に発熱やバッテリ持ち時間に影響します。
    • Oculus Questは温度が高くなると自動的に性能を下げるようになっているので、この値を高く設定したからといって常に性能が高くなるわけでもありません。
  • Set Video Capture Size
    • Oculus Questの画面を動画キャプチャする際の解像度を指定します。
  • Default Texture Size
    • OculusのCompositorが使う描画向けテクスチャの解像度を変更します。PC VRにおけるSuperSampling・内部解像度の設定に相当します。
    • より高い解像度にすると、画面がくっきりして細かい文字が読みやすくなりますが、その分フレームレートが下がったりバッテリーの持ちが悪くなったりします。
    • 設定は即座に反映されますが、アプリを起動中の場合はそのアプリを再起動する必要があるようです。
    • Oculus Quest2 は性能に余裕があるので、お気に入りのアプリに合わせて調整してみるとよいかもしれません。
  • Capture Video Bitrate ( Go Only )
    • Oculus Goの画面録画機能の動画品質を設定します。上げれば上げるほど、映像品質が向上しますが、保存に必要な記憶容量が増えたり、アプリの動作が重くなったりします。
    • OculusGoのみ影響がある設定でOculus Questには効果はありません。

VR非対応アプリの利用方法

Oculus Quest1の場合

SideQuestは任意のアプリをインストールするだけで無く、インストールした非公式アプリを起動するためにOculus Quest側で利用できるランチャーも用意されています。

このランチャーにはVR非対応のアプリも一覧表示され、起動するとそのままVR空間上のスクリーンでVR非対応のアプリを利用することが出来ます

Oculus Quest用のランチャーは以下の方法でインストールできます。

  1. トップページ右上の検索に SideQuest App Launcher と入力
  2. 検索結果に出てきたアイコンを選ぶ
  3. 右上のINSTALL TO HEADSETを選ぶ

インストールしたランチャーは他の非公式アプリと同様に「提供元不明のアプリ」から起動できます。

ランチャーを起動するとおなじみのドロワーが表示されますが、背景がOculus TVと同じものになっているのにお気づきでしょうか。このランチャーはOculus TVが持つ「非VRアプリ表示機能」を利用しています。そのため、ほぼどんなアプリも起動することができます。

Oculus Quest2の場合

普通のVRアプリと同じように「提供元不明」のカテゴリから2Dのアンドロイドアプリを起動することができます。

トラブルシューティング

突然SideQuestがOculus Questを認識しなくなった

Oculus Quest本体の大規模アップデート後など、何らかのタイミングでSideQuestがOculus Questを認識しなくなる事があります。これはOculus Quest側が持っている開発者モードの設定がリセットされたことが原因である場合が多いです。特に大きなシステムアップデートがあった場合には設定が戻ることがあります

再度スマートフォンのOculusアプリから「開発者モード」が有効になっているかを確認してみて下さい。OFFになっていても、開発者登録などを再度行う必要は無く、単にスイッチをONにし直すだけでOKです。

参考: USBケーブル

Oculus Questには標準でUSBケーブルが付属しますが、この 付属のUSBケーブルはUSBのバージョンが2.0 になっています。そのため、転送速度は遅く、大きなファイルを転送しようとするとやや時間がかかってしまいます。頻繁にファイルを転送するような場合はUSB 3.0のケーブルを用意してもよいかもしれません。

特にOculus Quest2の場合は付属ケーブルがかなり短いため、長めのケーブルがあった方が便利だと思います。

以下はOculus LinkでもOculusが推奨しているケーブルですので、持っていても損はないと思います。Oculus Linkのことも考える場合は一番長い3.0mを購入しておくとよいでしょう。

単に付属ケーブルの予備がほしい場合は、以下のような「L字コネクタ」のケーブルを選ぶのが良いでしょう。特に充電中はケーブルを挿しっぱなしにするので、ケーブルを引っ張ってもコネクタに負担がかかりにくいのは安心です。ただし、このケーブルはUSB 2.0なので転送速度向上には寄与しません。最初に買い足すならやはり前述のUSB 3.0のものを優先した方が良いです。

最後に

Oculus Quest/Oculus Goに簡単にストア外のアプリをインストールすることができるSideQuestを紹介しました。Oculus Quest/Oculus Goの活用方法をかなり広げることが出来ると感じます。

非公式アプリの中でも特にオススメなのがVirtualDesktop/ALVRといったPCのVRを楽しむためのアプリです。激しく動き回らないVRソフトを遊ぶ分には十分なクオリティを持っているので、一度試してみて下さい。

今後は他にも「Oculus Questにこのアプリを組み合わせると快適だった」みたいなアプリを色々と紹介もして行けたらと思います。

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