Oculus Go/Oculus Questの性能はVIVEなどのPC VRと比べてどうなのか

2018年9月29日

Oculus Go/Oculus Questなどのスタンドアロン型VRヘッドセットには、GearVR・Daydreamなどで利用するスマートフォンと同じGPU(絵を描く処理装置)が採用されています。このGPUの性能が、PC向けのGeForceなどと比べてどの程度の差があるのかを解説していきます。

PC向けVRの必要スペックについておさらい

VR では普通の機器とは違って、両目用の映像を別々の描画する必要があります。そのため比較的高いグラフィックス性能が求められます。

HTC VIVE・Oculus RiftといったPC向けVRでは、要求グラフィックスカードの下限がGeForce GTX 1060、もしくはGeForce GTX 970以上とされています。GeForce GTX 1060、は2016年に発売されており、現時点(2019年)から一世代古いアーキテクチャ、ラインナップの真ん中ぐらい(ミドルレンジ)の性能になります。GeForce GTX 970はさらにアーキテクチャが一世代古いですが、当時はそれより高性能なモデルでした。この二つは同じぐらいの性能になっています。

VRに最適なグラフィックスカードの選び方

ところが、Oculus Riftはこの性能ラインより一段階低くても問題なく動きます。具体的にはGeForce GTX 1050Tiと呼ばれるミドルローの製品が該当します。これはAsynchronous Space Warpと呼ばれるOculus独自の技術を有効にした場合の話になります。

Asynchronous Spacewarpとは?よくある誤解とチューニング方法

Oculusが生み出した神技術Asynchronous Spacewarpの裏側を知る

まとめると、VRに必要なグラフィックス性能

  • CPU内蔵のグラフィックス機能では無く、わざわざ専用のグラフィックカードが別に必要
  • その中でも中ぐらいの性能が求められている

ということです。価格にして 2万円から3万円ぐらいが最低ラインになります。これだけでOculus Goやちょっとしたスマートフォンが買えてしまう価格です。

モバイル向けのGPUにはどのようなものがあるか

Oculus Go/Oculus Questなどのスタンドアロン型VRヘッドセットや、GearVR・Daydreamなどで利用するスマートフォンには、ほとんどQualcomm社製のSoCが搭載されています。SoCとはCPU・GPU・無線などの様々な機能を一つのチップにまとめたもので、どのSoCが搭載されているかでデバイスの性能が決まります。

Qualcomm社製のSoCはSnapdragonと呼ばれるシリーズで、その中に組み込まれているGPUはAdrenoと呼ばれています。つまり、どの型番のAdrenoが搭載されているかでグラフィックス性能が決まります。

その他にも、HoloLensにはIntelのSoCが搭載されていたり、MagicLeapにはGeForceでおなじみのnVidia製のSoCであるTegraX2が搭載されていたりします。また、最近人気のNintendo Switchにはその一個前の世代のTegra X1が搭載されているそうです。

つまり、PCのVRの世界ではCPU内蔵のグラフィックス機能は使いませんが、それよりCPU性能の低いスマートフォン向けの世界ではCPU(SoC)内蔵のグラフィックス機能を使っており、スタンドアロンVRでは同じ技術を利用している、ということになります。

SnapdragonとAdreno の対応関係

Snapdragonの型番とそれに搭載されるGPU、およびそのSnapdragonを使ったVRデバイスやGearVR・DayDream対応スマートフォンは以下のようになります。

型番 搭載される
GPU
搭載
VRデバイス
搭載
GearVR・DayDream対応
スマートフォン
Snapdragon 820
Snapdragon 821
Adreno 530 Oculus Go Galaxy S7
LG V20
Snapdragon 835 Adreno 540 Oculus Quest
Lenovo Mirage Solo
Vive Focus
Galaxy S8
Google Pixel 2
LG V30
Snapdragon 845 Adreno 630 なし Galaxy S9
Xperia XZ2
LG G6

性能の比較

各PC向け・モバイル向けのGPUがそれぞれどれくらいの性能なのでしょうか。色々な要素が絡むため比べるのは簡単ではないのですが、GFX Benchと呼ばれるベンチマーク結果で大まかな傾向をつかむことが出来ます。

以下は、GFX Bench 5.0 でManhattanと呼ばれるシーンを、VRの負荷を考慮して2560×1440の解像度で描画したときの結果です。Adreno 540の結果がありませんでしたが、クロックの違いでAdreno 530と比べてだいたい10-15%の性能向上があると考えて下さい。

どうでしょうか。PC VRの下限であるGeForce1050Tiの性能は、Oculus QuestやVive Focusといった最新スタンドアロンVRヘッドセットの性能の比べて7倍程度の差があります。

PC向けVRの描画更新頻度は90回/秒、スタンドアロンVRヘッドセットでは72回/秒といった違いがあるので、このフレームレートの差を考慮したとしても 6倍程度の差があります。この差はかなり大きいです。

最新のSoCであるAdreno 630(Snapdragon 845)では3~4倍程度に差が縮まりますが、それでもPCと同等のグラフィックス品質で描画することは難しいでしょう。

まとめ

2018年において、スタンドアロン型VRやスマートフォンを利用したモバイルVRにおける描画性能の普及ラインは、PCのVRで要求される最低ラインの描画性能の6~7分の1ぐらいの性能しかありません。そのため、視界のリアルさ、という観点では、スタンドアロン型VR・モバイルVRは遠く及びません。
将来的に、PC VR向けのコンテンツをスタンドアロン型VR・モバイルVRに持ってくるノウハウが貯まってくれば、体験はそれほど変わらなくなってくる可能性もありますが、PCはPCでレイトレーシング技術を使った描画など、描画のリアルさはこれからも向上していきます。この差は埋まらないと考えた方が良いでしょう。

一方で、スタンドアロン型VRやスマートフォンを利用したモバイルVRは液晶パネルの解像度が高かったり、ケーブルが必要ないといった利点はあります。VRへの没入感は描画品質だけで決まるわけでは無く、トータルの体験が重要です。

テレビで遊ぶような従来型のゲームをそのままVR化したような用途においては、スタンドアロン型VRはあまり適しているとは言えませんが、3Dグラフィックスの描画品質以外の所に価値を見いだせるなら、こういったVRデバイスに手を出すのは悪くは無いと思います。

また、今後PCで描画した結果を無線でヘッドセットに転送するような技術が洗練されてくれば、スタンドアロン型VRヘッドセットの価値もさらに高まってくると言えます。

スポンサーリンク