世界最大のVRマーケットSteamVR

2016年11月27日

SteamVRは、PC用ゲームを取り扱う世界最大のオンラインストアSteamをVRに特化させたものです。取り扱いソフトは非常に多く、ほとんどのVRソフトはこのストアから入手でき、セールも頻繁に行われます。

Steamはそれだけで一つのゲームプラットフォーム

Steamは単なるオンラインストアにとどまりません。いわばPlayStation NetworkやXbox Liveのようなネットワーク対応のゲームプラットフォームをそのままPC上で実現したと言って良いです。

つまり、ネットワーク対戦やフレンド機能のようなゲームで共通で使われるような機能はすべてSteamが提供し、各ゲームからはそれらの機能を呼び出すような構造になっています。また、ゲーム間でフレンドを共有したり、クラウド上にセーブデータを置いて複数のPC間でシームレスに共有したりもできます。

強みはソフトの多さ

Steamには同人ソフトから市販されている大作ソフトまで非常に多くのソフトが登録されています。中には懐かしいようなとても古いソフトもありますし、PlayStation4やXbox Oneと同時発売されるような人気の新作もあります。

また同人ソフトも、Green Lightと呼ばれるユーザに参加型の評価制度によって、一定のクオリティが担保されています。このあたりは、門戸を広く開きつつも玉石混合のGoogle Playのようなストアとは違い、バランスのとれた構造になっています。 (追記:Green Lightは廃止されました。)

ほかのストアよりもお得?

セールが多い

Steamの特徴としてセールを多くやっていることがあげられます。10%引きのものから中には80%引きのものまであり、また古いソフトは定価自体が95% OFF ぐらいで売られているものもあります。

返品上等

Steamだけのユニークな特徴として、返品ポリシーが非常に緩いことも挙げられます。海外では割とカジュアルに返品を行う習慣があるのですが、それでも極端にポリシーが緩いです。買ってみたら動かなかった、性能が足りなかったは当然として、、、

  • なんか違った・面白くなかった
  • 買った直後にセールが始まったので、安い価格で買いなおしたい

というような理由での返品も認められています。

ですので、Steamには体験版のようなものは非常に少ないです。少し、遊んで気に入らなければ返品するだけでいいのです。

VRのソフトの中には見かけ倒しのクオリティだったり、ボリュームが極端に少ない一発ネタのような物も多いですから、この返品に寛容な姿勢はVRと非常に相性が良いです。みなさんもうまく活用してみて下さい。

ただし、返品にはプレイ時間などの条件がありますので、規定をよく理解した上で利用してください

追記: 2017年10月よりOculus StoreでもSteamと同様の返金ポリシーが設定されました。

ほぼ全てのPC VRデバイスに対応

SteamはPCゲームのプラットフォームですから、PCの種別を問いません。同じようにSteamVRは、HTC VIVEはもちろん、Oculus Rift、Windows Mixed Realityなどほぼ全てのPC VRデバイスに対応しています。

対応デバイスを広げるため、Steamの開発元であるValveはSteamに用ソフトウェア規格OpenVRを独自に用意しています。OpenVRは各社のVRプラットフォームの上にまたがるように構築されており、ゲーム開発者はOpenVRに対応してソフトを一つ作っておけば、OpenVRが対応するVRプラットフォームすべてに簡単に対応することができるようになっています。

ただし、各社のプラットフォームの違いを吸収する仕組みが故に、各プラットフォームに直接対応した場合に比べて制限が生じる場合があります。

具体的には、Oculus Riftの場合はOculus Homeで購入できるOculus Rift専用ソフトの方が快適に遊べる場合もあります。Oculus Homeで購入できるソフトはほぼ全てがOculus Riftに最適化(Oculusが提供するLibOVRを使って開発)されているためです。

SteamVRで購入できるソフトにもOculus専用のLibOVRに対応したものもそれなりにありますが(UnityやUnrealEngineを使えば比較的容易に対応可能)ですが、多くのソフトがVRプラットフォームの差異をを気にしなくて良いOpenVRをベースに開発されています。

対応ヘッドセットの注意点

SteamVRで販売されてるソフトは、ほぼ全てのPC VRデバイスに対応していると書きましたが、ソフトによっては対応が中途半端な物もあります。HTC Viveには必ず地対応していますが、他のヘッドセットに関しては、操作が各ヘッドセットのコントローラに特化しすぎていてボタン配置が変だったり、コントローラの持つ角度の違いがゲーム性に影響を与えたりもします。

このような微妙な対応具合についてはソフトの紹介ページに対等ヘッドセットが明記されていますし、SteamVR内の「ヘッドセット」条件で絞り込んで検索できますから、これらの情報を活用すればより安心です。対応と明記されていなくても、前述した「返品上等」のポリシーを活用して、プレイに問題ないかを自分で確認してみるのも有りかもしれません。

Oculus Riftへの最適化について

LibOVRを直接使ったときのメリットは、Asynchronous SpacewarpをはじめとしたOculusの独自技術が使えることです。

また、Oculus Touch特有の「ボタンは押してないけど指は触れている」状態もLibOVRを使わないと検出できません。そのため、THE CLIMBの様な「手を再現するゲーム」はあまりSteamVR上ではリリースされないかもしれません。

このような固有の最適化具合は、ストアの情報からは知ることができません。ただ、起動時にSteamVRモードで起動するかOculusモードで起動するかを選べる仕組みがSteamVRにはあるので、買った後であればこのメニューが表示されるかどうかで対応具合を判別することは出来ます。(Rez Infinityなど)

サポートされるPC

SteamVRが要求するPCの性能は比較的高めです。グラフィックスカードを増設することが大前提で、かつOculus Riftの要求性能よりも若干高くなっています。

といってもプレイするゲームによって要求する性能はまちまちなのですが、SteamVRを運営するValve自体が無料で配布しているゲームであるThe Labが動く程度の性能が無いと、ほとんどのソフトはプレイするのが厳しいでしょう。

VRヘッドセットを購入する前に必要な性能を満たしているかどうかを確認する場合は、SteamVR Performance Testで目安を知ることができます。

SteamVRとHTC VIVEの関係

HTC VIVEの位置トラッキングに使用されている基盤技術LighthouseはSteamのValve社が開発、提供したものです。またHTC VIVEはOculus RiftやWindows MRとは違って、専用のネイティブプラットフォームを持ちません。つまり、SteamVRがHTC VIVEの性能を一番引き出せるネイティブのプラットフォームとなっています。

言い換えると、HTC社はWindows MRにおけるHPやAcerの様に技術提供を受けてハードウェアを設計する立場にあります。もちろん、VRの初期の頃から挑戦的な試みをしていますから、HTC社とValve社の関係はMicrosoftと他のハードウェアメーカーよりも密な関係にあることは間違いないでしょう。

Valve社はVR普及のOculus(Facebook)やMicrosoftと肩を並べる存在?

Valve社の技術提供を受けてVRデバイスを開発している企業はHTCの他にもいくつかあります。大手だとLGが高解像度のVRデバイスを開発中という話もありました。

HTCはVR部門を他社に売却する検討をしているとの情報もありますので、HTC VIVEの存在感は高いと言っても実質的に影響力を持つのはSteamVRを運営するValveであると言えるのでは無いでしょうか。

まとめ

SteamVRとはPC上に構築された一つのネットワークゲームプラットフォームであり、HTC VIVEやOculus Riftなど規格の違うヘッドマウントディスプレイを共通化する仕組みでもあり、それらを目的に集まったソフトウェア開発者がたくさんのソフトを販売する場所でもあります。

そして、ヘッドマウントディスプレイを買い換えて、VRのプラットフォームを移ったとしても、SteamVRでソフトを買っておけば、すんなり移行できることでしょう。

どのヘッドマウントディスプレイが市場を制するかはまだまだ分かりませんが、PC上でそれらに対応したゲームを買う場所としてのSteamVRはトップを走り続けるのではないでしょうか。

そう考えると、複数のストアで販売されているVRソフトをどこで買うべきか?を考えるときにはまずSteamVRを検討するのが良いと言えそうです。

SteamVR以外のプラットフォーム・ストアについて知りたい場合はこちらの記事を参照して下さい。

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